仏ルノー、EV電池セル見直しでバッテリーコスト20%削減へ

2024年7月2日


ルノーは1日、競争力維持のため、より安価な電池セル技術と、電気自動車(EV)部品の新しい製造過程を採用することで、バッテリーにかかるコストを約20%削減すると発表した。より安価な自動車用バッテリーにシフトしつつある業界に歩調を合わせることを後押ししそうだ。

発表によると、EVとソフトウエア開発を手掛ける傘下の「アンペア」部門で、現在採用している三元系リチウムイオン(NCM)電池セルに加え、リン酸鉄リチウム(LFP)電池セルをEVプラットフォームに統合する。アンペアは、韓国のLGエナジーソリューションと協力し、航続距離を伸ばすためのバッテリーシステムも開発する。

  ルノーによると、この取り組みにより、2026年初めから自動車用バッテリーの供給コストを下げられる。

  欧州連合(EU)が新たな関税を課して中国勢の進出を遅らせようとしているにもかかわらず、欧州の自動車メーカーは中国製の安価なEVとの競争に苦戦している。独フォルクスワーゲン(VW)は5月、ヨーロッパで2万ユーロ(約350万円)で買えるEVを独自に開発すると決め、他社との協力を見送った

ルノーは1月、EV需要の鈍化とテスラによる積極的な価格引き下げで投資家の意欲が冷え込み、アンペアの新規株式公開(IPO)計画を断念した

  ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は、より手頃な価格のEV用プラットフォームの開発コストを分担するパートナーも求めてきた。ルノーとVWは早い段階から交渉を行っていたものの、VWは先週、米EVメーカーのリビアン・オートモーティブとの合弁事業に50億ユーロを投資する計画を発表した

  各社は、多くの消費者にとって依然として手の届かないEVへのシフトが予想よりも遅れていることを考慮し、戦略を練り直している。

  メルセデス・ベンツ・グループステランティス、トタルエナジーズが所有するオートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)は先月、計約70億ユーロかかると推計される三つのプロジェクトのうち、二つを中断した。各社は、需要の鈍化を踏まえ、より安価な電池セルの製造に軸足を移すことを検討している。VWは、欧州における200億ユーロのバッテリー計画について、フル生産体制に達する時期を遅らせる可能性を表明している。

ソース:仏ルノー、EV電池セル見直しでバッテリーコスト20%削減へ – Bloomberg