日本特殊陶業が固体電池開発、2022年に月面で実証実験へ
2021.05.10
日本特殊陶業(NTK)は2021年5月6日、酸化物系電解質を用いた固体2次電池を開発したと発表した。体積エネルギー密度は300Wh/Lで容量は0.5~10Wh、寸法は30~110mm角でこのタイプの固体電池としては「クラス最高水準の容量とサイズ」(同社)とする。
利用した酸化物系電解質はランタンジルコン酸リチウム(Li7La3Zr2O12:LLZ)で、全固体電池でよく用いられる材料だ。ただ、製法によってイオン伝導率などの性能が大きく変わる。その製法を「独自に開発した」(NTK)とする。300Wh/Lという体積エネルギー密度は、セルでは既存のLiイオン2次電池(LIB)と比べて高いとは言えない。ただし、耐熱性が高いことから冷却機構を省くことができれば、パッケージの体積エネルギー密度で既存のLIBを上回る可能性がある。安全性については釘刺し試験で発火しないことを確認済みとする。
一方、酸化物系電解質で課題とされる出力密度や充放電レートなどは明らかにしていない。
2022年の月面探査機に搭載
利用可能な温度範囲はセ氏-30~105度と広く、宇宙空間や自動車のバックアップ用電源、海洋機器、運輸用IoT(Internet of Things)、防爆が要求される機器などでの利用を想定する。
このうち、宇宙空間での利用については具体的な計画が進んでいる。ispaceが進める民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」に参画し、2022年に月面での固体電池の「世界初の」(NTK)実証実験を行う計画だ。
NTKはこの固体電池を、「人とくるまのテクノロジー展2021オンライン」(21年5月26日~7月30日)に出展する。名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)での「人とくるまのテクノロジー展2021名古屋」(21年6月30日~7月2日)では、自動車技術会の技術紹介コーナーで現物を展示する予定だという。
ソース:日本特殊陶業が固体電池開発、2022年に月面で実証実験へ | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)