電気自動車の充電料金はいくら?ガソリン代よりおトクかを解説!
ひと口にEVの充電料金と言っても、充電には大きく分けて「自宅充電」と「外充電」があり、充電料金の目安が異なります。また、「自宅充電」のメインとなる「普通充電」と、「外充電」のメインとなる「急速充電」という2種類にも分けられます。
使用状況でそれぞれ使い分けが必要となるため、十分に意識しながら、充電の料金目安をそれぞれ確認していきましょう。
「自宅充電」なら満充電まで数百円〜2000円程度
EVを所有するときに基本となる「自宅充電=基礎充電」には、「安価に充電できる」「満充電まで数時間〜十数時間かかる」「充電設備を設置するための初期費用がかかる」といった特徴があります。
自宅に設置するのは急速充電器ではなく普通充電器(EV充電用コンセント含む)ですから、一般的にバッテリー残量が少ない状態から満充電までは数時間〜十数時間が必要(3kWの出力で30kWh充電するには約10時間)です。
しかし、「自宅充電」は自宅外の公共充電スポットまで行く必要がなく、「外充電」と比べて安価に充電できる特徴があります。
自宅充電の都度に必要なコストは電気代のみです。EVのバッテリー容量によりますが、1回あたり数百円〜2000円程度の電気代で満充電にすることができます。
ただし、自宅で充電を行うには駐車場などに充電設備を設置する必要があります。と言っても、200VのEV充電用コンセントを設置する方法なら、初期費用は10万円程度が目安(分電盤からコンセントまでの距離など条件によって異なります)と比較的安く抑えられます
なお、自宅が集合住宅の方も多いと思いますが、最近では駐車場内に充電器を設置しているマンションなどが増えてきました。また、集合住宅への充電設備の設置から運用まで相談に乗ってくれる業者も多くいます。「EVに乗りたいけど住まいがマンションなので充電設備がない」という方は以下の記事を参考にしてください。
「外充電」は数千円の月会費+都度料金が必要
一方、「外充電」は自宅外の公共充電スポットを利用することになり、基本的には数千円程度の月会費を支払って自動車メーカーなどが発行する「充電カード」を所有する必要があります。
また、月会費とは別に充電する際の都度料金が設定されており、普通充電は数円/分、急速充電は数十円/分程度の料金をその都度支払うことになります。
充電カードに加入していない場合でも「ビジター(ゲスト)」として充電スポットを利用することはできますが、利用するたびに個人情報を登録するなど手続きが煩雑なうえ、充電料金は割高になります。
「自宅充電」するには具体的にいくらかかる?
ここでは「自宅充電」にかかる料金目安について、もう少し詳しく見ていきましょう。
「全国家庭電気製品 公正取引協議会」1)は、全国の電気料金の目安単価を「1kWhあたり31円(税込)」と発表しています。
契約内容によりますが、一般的に電気料金プランは従量料金制となっていて、電力使用量が増えるごとに料金が上がる仕組みの場合が多いです。
1kWhあたり31円とした場合、バッテリー容量が40kWhの日産「リーフ」では1240円※で0%から満充電にすることができる計算です。
※電力量料金のみの金額です。基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は加味していません(以下同様)
〈表〉国産EV別の充電料金目安
車種 | バッテリー容量 | 充電料金目安 ※ |
トヨタ「bZ4X」 | 71.4kWh | 2213円 |
スバル「ソルテラ」 | 71.4kWh | 2213円 |
日産「サクラ」 | 20kWh | 620円 |
日産「リーフ」 | 40kWh | 1240円 |
日産「アリア」B6 | 66kWh | 2046円 |
マツダ「MX-30 EV MODEL」 | 35.5kWh | 1100円 |
三菱「eKクロス EV」 | 20kWh | 620円 |
※1 0%から満充電する場合
※2 1kWhあたり31円として算出
なお、東京電力エナジーパートナーの場合、EVもしくはPHEV(プラグインハイブリッド車)所有者に対して、特定の条件下で年間最大3600ポイントを付与する「eチャージポイント」というサービスを行っています。このようなサービスも見落とさないようにしつつ、おトクに充電するのがオススメです。
「外充電」の料金は、具体的にいくらかかる?
続いて、「外充電」の具体的な料金の目安を見ていきましょう。
「外充電」には普通充電と急速充電の2つがあり、長距離ドライブなどの途中で行う「経路充電」では、おもに急速充電器を使用することになります。一方、「外充電」における普通充電は、宿泊先などでの「目的地充電」であることが多く、長時間滞在する場所で行うことになります。
急速充電は素早く充電できますが、自宅充電とは料金体系が異なるほか、以下のような特徴があります。
外充電を行うには原則として「充電カード」が必要
前述のとおり、「外充電」を行うときには、おもに公共の充電スポットを利用することになり、自動車メーカーなどが発行する「充電カード(認証カード)」が原則必要です。カード会員になるには月会費がかかります。
充電カードは、自動車メーカーが発行しているもののほか、充電インフラネットワークを構築している東京電力グループのe-Mobility Powerが発行しているものなどがあります。
自動車メーカーの充電カードは、基本的にそれぞれのメーカーが販売する車種を所有している人向けとなっています。自動車メーカーが発行する充電カードの場合、新車購入時から一定期間は月会費などが無料となる購入特典が付くケースもあります。ディーラーなどに確認して上手に活用しましょう。
外充電の料金は充電時間に応じてかかる「時間制課金」
自宅充電の場合、一般的に使った電力量に応じて料金が発生するいわゆる「従量制課金」となっています。しかし、外充電の場合は、充電時間に応じて料金がかかる「時間制課金」が現状基本です。ただし、充電カードによっては月会費に一定の充電利用時間が含まれている場合が多いです。なお、一般的に急速充電器の使用は1回あたり30分までとされています。
日産「ZESP3」の場合、月会費4400円〜1万1000円
具体的に「外充電」はどれくらいの料金がかかるのでしょうか。一例として日産が発行している充電カード「ZESP3」の料金プラン2)を見てみましょう。
〈表〉ZESP3の基本料金体系
プラン名 | プレミアム100 | プレミアム200 | プレミアム400 | シンプル |
プランに含まれる充電分数※1 | 急速充電100分 | 急速充電200分 | 急速充電400分 | 設定なし (すべて従量課金) |
普通充電600分 | 普通充電600分 | 普通充電600分 | ||
月額基本料金 | 4400円 | 6600円 | 1万1000円 | 1100円 |
充電料金※2 (急速充電器) |
44円/分 | 38.5円/分 | 33円/分 | 99円/分 |
充電料金※2 (普通充電器) |
3.3円/分 |
※1 急速充電の未使用分は翌月まで繰り越し可。普通充電は繰り越し不可。
※2 プランに含まれる充電分数以上に使用する場合
これはあくまでも日産の「ZESP3」の場合ですが、月額基本料金は現状4400円〜1万1000円とかなりの幅がありますので、どのようにEVを利用するのかなど、外充電の利用頻度を考えてプランを選ぶといいでしょう。
なお、前述のように、充電カードに加入せず外充電を利用する場合、手間がかかるうえに料金も割高になります。充電カード非加入による外充電の利用はレアケースと考えたほうがいいでしょう。
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【比較】充電料金とガソリン代、どちらが安い?
それでは、EVの充電料金とガソリン車の燃料代はどちらが安いのでしょうか。結論からお伝えすると、同等の性能のガソリン車と比較した場合、EVの走行コストはかなり安いと言えます。
EVとガソリン車の走行距離1万kmのコスト差は?
イメージしやすいように、1万kmを走行した場合のガソリン車とEVとの走行エネルギーコストを比べてみましょう。現在市場に出ているEVの情報をもとに、条件は次のとおりとします。
〈図〉(比較条件)ガソリン車とEVの燃費(電費)性能
それぞれの燃費(電費)性能については、世界的な燃費テスト方法をもとに国土交通省が定める「WLTCモード」にて概算しています。ここで示されている「km/L」とは、ガソリン車が1Lの燃料で走れる走行距離のことです。一方、「km/kWh」とはEVが1kWhの電力量で走れる走行距離を示しています。
なお、比較するガソリン代と電気代(自宅充電の場合)の価格は、資源エネルギー庁が発表している「給油所小売価格調査」と、「全国家庭電気製品 公正取引協議会」の発表より下記のように定め、「自宅充電」のみを行うことを条件とします1、3)。
〈図〉(比較条件)ガソリン代と電気代の単価設定
これらの条件で1万km走行したときの、それぞれの走行コストは次のとおりです。
〈図〉1万kmを走行した場合のコストの比較
ご覧のように、結果はガソリン車の走行コストが10万9890円、EVの走行コストが5万1646円となりました。両者の走行エネルギーコストを比較すると、じつに2倍以上の差となったわけです。
ソース:電気自動車の充電料金はいくら?ガソリン代よりおトクかを解説! – EV DAYS | 東京電力エナジーパートナー