ガソリン車の輸入を全面禁止、EV普及にまい進する意外な国とは
8/21
(CNN) エチオピアの首都アディスアベバでは、汚染物質を排出する車やトラックに混じって、電動のバスや15人乗りの小型バス、乗用車、バイクなど、よりクリーンで静かな乗り物も行き交っている。
エチオピアでは現在、約10万台の電気自動車(EV)が走っている。 エチオピア政府は、この数が2032年までに4倍以上に増えると予測している。これは主に政府が今年に入ってからガソリン車の輸入を全面的に禁止するという異例の措置を取ったためだ。ガソリン車輸入の全面禁止は世界で初めて。 輸入車に対する関税も実質的に引き下げられた。財務省によると、輸入禁止前のガソリン車に対する関税は最大200%だったが、完成EVはわずか15%だ。 これもEVを普及させるための政府主導の取り組みの一環だ。 税率の引き下げは国内でのEV生産も促進している。数百台の車両は、エチオピアに拠点を置く企業が中国から輸入した部品を使って組み立てた。この企業によると、国内で組み立てられるEVの部品の関税は「ほぼゼロパーセント」だ。 現在、ほとんどの自動車所有者はEV、特に軽自動車を好み、需要は日々増加しているという。
ガソリンからの急速な移行
エチオピアがEVに力を入れている背景には、輸入燃料が高価であることと、同国の電力の96%がクリーンな水力発電で供給されていることが挙げられる。 長年、一党独裁政権が統治してきたエチオピアは、民主的な国ではより長い時間がかかるであろう環境政策を迅速に実施できることを示した。同国は2000年代初頭にも非効率的で危険な有鉛ガソリンの禁止に素早く動いた。 エチオピアの車両台数は合計で約120万台とまだかなり少なく、普及の割合は100人に約1台だ。米国では91%以上が少なくとも1台の車を所有している。アフリカで最も人口の多いナイジェリアでは合計1180万台、100人に5~6台の割合で普及している。 エチオピア政府は、輸入ガソリン車の価格の最大3倍に相当する非常に高額な税金を課すことで、車の所有率を低く抑えてきた。これは公共交通機関の利用を促すための取り組みの一環だ。 政府は輸入EVに対する税金の一部を削減・廃止したが、EVは依然として高価だ。世界的な非営利団体である「世界資源研究所」の専門家によると、「EVを購入しているのは間違いなく高所得層だ」。 高額の費用にもかかわらず、エンジン車に代わりEVの台数は徐々にだが着実に増加している。EVの普及台数を10万台超にするという10年間の目標が22年に掲げられてから2年も経過していないが、米メディアのクリーンテクニカによると、エチオピアでEVはすでに全車両の10%近くを占めている。