アップル、長距離EVバッテリーでBYDと過去に極秘協力-関係者
2024年10月17日
米アップルは今年断念した電気自動車(EV)プロジェクトの一環として、過去に中国のEVメーカー、比亜迪(BYD)と長年協力し長距離バッテリーを開発していた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、この取り組みは現在使用されている技術の基礎構築に役立つものだったという。
アップルとBYDは、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用したバッテリーシステムを構築するため2017年ごろに提携した。この技術は、当時一般的だったEVバッテリーよりも航続距離が長く、安全性が高くなるよう設計されていた。関係者は部外秘情報だとして匿名を条件に話した。
BYDの現在の「ブレードバッテリー」に使用されている技術をアップルは一切所有していない。だが、両社の提携はスマートフォン「iPhone」を手掛けるアップルが自動車開発にどれほど力を入れていたかの表れと言える。同社はしばしば「次の大きなこと」の一つと見られていた自動車プロジェクトに、過去10年間で年約10億ドルを費やしていたが、今年2月に計画を断念した。
関係者によると、アップルがBYDと共同開発した技術は、一度計画されたEV用に高度にカスタマイズされたものだった。極秘提携の一環として、アップルのエンジニアは先進的なバッテリーパックと熱管理の専門知識を提供。BYDはリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)の製造ノウハウなどで貢献した。
アップルとBYDの広報担当者は、バッテリーに関する提携についてコメントを控えた。ただ、BYDは「ブレードバッテリーのコンセプトは、LFP・ブレードバッテリーを独自に開発したBYDのエンジニアが考案したものだ。BYDはブレードバッテリーに関するすべての財産権と特許権を保有している」と説明した。
現在、BYDの車はすべてブレードシステムを搭載している。開発関係者によると、同システムはアップルの取り組みから得た教訓を反映したバッテリーパック設計を採用しているという。