給油と同じ早さ、5分でフル充電できるEV用バッテリー…イスラエルのStoreDot社が開発
Jan. 24, 2021
- 5分で充電可能な電気自動車用バッテリーが発表された。
- 電気自動車の標準的なバッテリーは、フル充電に約8時間かかる。
- 高速での充電によって、EVがさらに身近になるだろう。
ガソリンを満タンに入れるのと同じ、わずか5分で充電できる電気自動車用バッテリーが、中国の工場で製造された。
新しいリチウムイオンバッテリーは、イスラエルのStoreDot社が開発し、中国のEve Energyが製造した。StoreDotは1月19日、リチウムイオン電池の規格に準拠したバッテリーのサンプルを1000個製造したと発表している。
このサンプルは、BP、ダイムラー、サムスン、TDKなど、EV市場に進出したいと考える潜在顧客や投資家に向けて、StoreDotの技術を紹介するために使われる。
充電時間が早いバッテリーは、EVをさらに機能的にする
現状の電気自動車は充電に時間がかかるため、多くのドライバーにとって長距離の走行には向いていない。電気自動車の充電機器を製造するPodPointによると、現在市場に出回っている電気自動車のバッテリーは、充電に30分から12時間かかるとされているが、通常はフル充電に約8時間程度かかる。
電気自動車は、バイデン大統領が掲げる予算2兆ドルの気候変動への取り組みで重要な項目となっている。その中で大統領は、ガソリン車の代わりに電気自動車を走らせることで、2035年までに再生可能なエネルギー網を構築したい考えだ。StoreDotの最新バッテリー技術は、同社のドロン・マイヤースドルフ(Doron Myersdorf)CEOが電気自動車の最大の障壁と呼ぶ「走行距離と充電への懸念」を軽減し、環境にやさしい未来を実現可能にするだろう。
「今回の発表は重要なマイルストーンだ。このバッテリーは初めて研究室レベルを超え、大量生産に対応し、商業的に実現可能な商品となった」と、マイヤースドルフCEOはプレスリリースで述べた。「我々は、電気自動車の大量生産に向けて、決定的な障壁を取り除く、革命的な充電体験を提供しようとしている」
電気自動車は、1回の充電で平均250マイル(約400km)の走行が可能だ。高速で充電可能なバッテリーがあれば、ドライバーは航続距離に縛られず、従来の車と同じように長距離走行に電気自動車を利用できる。
現在のリチウムイオンバッテリーは電極にグラファイトを使用しているが、StoreDotのバッテリーはイオンがスムーズに移動できる半導体ナノ粒子に換えることで、高速充電が可能になった。同社では2021年末までに、この電極をさらに安価なシリコンへ換えることを予定している。テスラも、シリコン電極の開発を行っている。
ソース:給油と同じ早さ、5分でフル充電できるEV用バッテリー…イスラエルのStoreDot社が開発 | Business Insider Japan