NY市場が世界大恐慌以来の株安記録 弱気相場入りで日本株から資金流出か
2022年05月27日
米国の相場格言に「5月に株を売れ」がある。先月初旬以来、当コラムで「リスクオフ」と何度も警告してきたが、先週末、NYダウは8週連続で下落した。1896年から算出が始まったNYダウの最長続落記録は8週連続で、今回は1932年の世界大恐慌以来、90年ぶり2回目の最長続落を記録した。今週も下げ止まらなければ9週連続と、過去最も長い株安になる。
先週末、S&P500とナスダック総合指数も7週連続で下落し、ドットコム・バブルがはじけた2001年以来、最長となった。S&P500は一時、1月3日に付けた終値での最高値から20%超、下落する場面もあった。
通常、過去1年の高値からの下落率が20%を超えると「弱気相場」入りとされる。すでにSNS関連など成長株の多いナスダックは、21年11月に記録した終値での最高値から約27%も下落している。
そのような情勢下、バイデン米大統領はアジアを歴訪。半導体などのサプライチェーン強化に向けて連携し、脱ロシアに加えて脱中国依存を図りたい考え。バイデン氏は韓国の尹錫悦大統領とサムスン電子の半導体工場を視察した。
私事ながら先週、家電量販店にエアコンを買いに行ったら、半導体不足で最新モデルは品薄、昨年のモデルなら在庫がありますと言われた。また、自家用車を車検に出したら、代車は走行距離300キロの新車だったが、カーナビが作動せず、理由を聞いたら半導体不足でカーナビだけ作動しませんと説明された。半導体不足は、さらに深刻になるかもしれない。ウクライナの戦闘で、欧米も兵器をウクライナに供与、その兵器にも半導体が多用されているからだ。
深刻な半導体不足。半導体を製造するのは、半導体製造装置。日本半導体製造装置協会の3月の半導体製造装置の販売高(暫定値)は3148億円(前年同月比30.8%増、4月分は5月26日発表予定)と好調が続いている。21年の世界半導体製造装置の販売高は1026億ドル(前年比44%増)と初めて1000億ドルを突破。国別では中国が296億ドルで2年連続世界一、2位韓国250億ドル、3位台湾249億ドルと3カ国で世界販売高の77%を占めた。この勢いなら22年は1470億ドルと予想する。日本は78億ドルである。半導体製造装置の関連銘柄の押し目に投資妙味ありか。
■MSCI指数は22銘柄を除外
なお、米モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は12日、自社算出の株価指数「グローバルスタンダード指数」の構成銘柄の定期見直しを発表。日本株は新規採用なし、除外22銘柄で決まった。31日に実施する除外銘柄は、ALSOK、ベネ・ワン、ローソン、東洋水、コスモス薬品、ツルハHD、三菱ガス化学、メルカリ、住友ファーマ、参天薬、大正薬HD、関西ペイント、ライオン、ポーラHD、リンナイ、三浦工、スタンレー、日野自、良品計画、メディパル、東京センチュリー、オリックスFと半導体製造装置はないが日本株からの資金流出が懸念される。
ソース:NY市場が世界大恐慌以来の株安記録 弱気相場入りで日本株から資金流出か【プロはこう見る 経済ニュースの核心】|ニフティニュース (nifty.com)